特養の(非)日常

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高齢者向け対話AIシステム「MICSUS(ミクサス)」は特養で活用できるのか

    この記事でわかること
    ①従来とどう違うのか?
    ②特養で使えない理由とは?
    ③使用出来るようにする工夫は?

どうも。介護士のルリです。

介護士の環です!

ネットで介護系の記事を探してたらこんな記事を見つけました。

おー対話型ロボットですか。
かわいいですね~。

対話型ロボットと聞くと、以前書いたブログの内容が想起されます。

そういえばこんなのありましたね。

と、いうことで今回はこの「MICSUS(ミクサス)」について調べていき、特別養護老人ホームで活躍出来るのかさせられるのか、考察していきたいと思います。

結論

私の感想ですが、特養での活用は難しいのではないかと思います。

それはどうしてでしょうか?

理由は3つあります。

 
   「MICSUS(ミクサス)」が特養で活躍させるのが難しい理由
    ①費用面
    ②多対一の会話が難しそう
    ③認知症の人への効果を見込めない

まぁ、ある程度予想通りというかなんというか。

1つ1つ見ていき……たいところですが。

その前に、この「MICSUS(ミクサス)」に関する内容や、従来のコミュケーションロボットとの違いについて話していきましょうか。

MICSUSの効果

    
    ①高齢者の健康状態悪化の抑制
    ②高齢者の介護需要を低減
    ③業務負担の軽減や効率化を図る

「健康状態悪化の抑制」これは日々MICSUSが健康状態について観察することが可能です。

トイレは行ったか、ご飯は食べられたか、体調は悪くないかなど質問してその反応からその人の健康状態を観察します。これにより、重篤な状態の見逃しを減らす目的があるようです。

これは是非とも特養でも活躍してほしい機能ですね。

ですね。なので「健康悪化抑制」からの介護の需要自体を少なくしたり「業務負担の軽減や効率化」といった面が期待されているわけです。

従来の対話型ロボットと違う点

    
    ①遠回しな回答を行っても高精度に解釈される
    ②うなずきや首振りなどのジェスチャーも認識できる
    ③ロボットが得た情報は要約して提示されるため閲覧が楽

従来の対話型ロボットと違う点を教えてください。

はい。まず上記の通り「遠回しな回答を行っても高精度に解釈される」でしょうか。

と、言いますと?

こちらの論文に詳細がありました。

質問「毎日 3 食食べていますか?」に対して「最近、胃腸の調子が良くてね」といった遠回しな回答を行っても高精度に解釈される。また、ユーザの回答によっては質問の聞き直しや、回答の訂正などを行うこともできる。回答は音声だけでなく、頷
うなずきや首振りなどのジェスチャーでも可能である。

水野 淳太 淺尾 仁彦, 高齢者介護支援用マルチモーダル音声対話システム MICSUS, 情報通信研究機構研究報告 Vol.68 No.2 (2022)

遠回しな表現あるある~!

でもこういうのもしっかり解釈してくれるのは助かりますね♪

頷きやジェスチャー等の理解もあり、より自然な会話の理解が出来るようになっているのはすごいことですね。

さらには、会話で得られた情報を要約して伝達してくれるのは至れり尽くせりな機能です。

どうしても時間がないので、サッとわかりやすく伝わりやすい情報で提示してくれるのは本当にうれしいですね。

従来の対話型ロボットで指摘されていた点

まずは従来のコミュケーションロボットを使用しなかった理由を見ていきましょう。

えーっと
①充電器口に食べ物を入れてしまう。
②高額。維持費も高い
③不評な人には不評
④周りの音を拾ってしまう。

見たところ、人形の口は閉じられており汚れはしても壊れる心配はなさそうですね。

そして④……これが重要ですね。どうやら、大幅な改善が出来ているようです。

論文内では、高度な音声認識の内容をわかりやすく解説されておりました。が、ここでは割愛します。

普通に難しそうでしたが……まぁでもしっかり音声認識してくれるとのことなので、周りの環境音等での誤作動が起こりにくくなるということですね!

あとは、利用者様本人の声量や滑舌の問題、その他ラジオやテレビなどの音声区別が出来るようになるとより活用が期待されますね。

特養で使用が難しい点

    
    〇論文では居宅に住んでいる人に向けて作られている
     →一対一の会話が前提
    

特養では複数の利用者様が過ごされているため、ロボットを一人一台ずつ用意なんてのは難しいでしょう。

個人購入でしょうね。

できて、1ユットに1台ですが、対応できるのが1対1のみではあまり活用はできないでしょう。情報を処理しきれず誤った情報が記録されてしまう恐れもあります。

下手に使うと逆効果ということですね。

そもそも目的が違う

MICSUSの真の目的は、ケアマネジャーさんが居宅へ移動する時間の短縮やレポート作成時間の短縮、それによる業務効率化にあります。

MICSUS自体が利用者様の状態を質問して把握し、状態を観察した結果をレポートとしてまとめる。

ケアマネジャーさんは利用者様のところへ移動する時間や、書類の作成時間を短縮し、ケアの質を担保しながら業務効率化を図る……。

介護職が楽になるかどうかというと、そうとは言い切れないのが現状ということでしょう。

残念……!

使用出来るようにするには?

    
    〇論文では居宅に住んでいる人に向けて作られている
     →多対一の会話が出来て、情報をしっかり処理できること
    

今後はTVやラジオの音声と実際の人の音声の認識だけでなく、職員の声や利用者様の声の識別を行い、誰が何を言っているのかを聞き分け整理できる機能が欲しいですね。

欲張りさん……!
これが出来たら聖徳太子さんやん……。

でも何となく近い将来可能になる気がするんですよね~。

今後技術がさらに上がってこういうのも出来るようになるとすごいですよね~。

特養が対話型ロボットに求めること

あとはそうですね。カメラとかもあるので可能であれば口腔体操なんかも促してもらえるといいですね。

テレビで動画流すだけよりも、カメラで一人一人確認しながら適宜声掛けなんかもしてもらえると嬉しいですね。

ロボットで出来ることをどんどん増やしてもらえると介護現場はありがたいです。

まとめ

    
    〇現状のMICSUSでは特養の介護業務負担軽減につながりにくい
    〇多対一のコミュニケーションロボットが出来て欲しい
    〇情報収集だけではなく各種体操も実施出来るとより良い

ということで今回は以上となります。

楽しんで読んでいただけたら幸いです。

何かの参考になればうれしいです。
それでは!