特養の(非)日常

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アニメから学ぶ食事介助の仕方-薬屋のひとりごと編-

どうも。介護士のルリです。

介護士の環です!

今回もアメから食事介助の方法について学んでみたいと思います。

前回がぶっ飛んだ内容でしたけど、今回は普通なんでしょうね?

今回挙げるアメは「薬屋のひとりごと」です。

オンライン小説が原作のアメですね!

前回のようなバトル物ではなくて安心です。

なお、今回もメのネタバレを含みますので、苦手な方は戻るボタンを押してください
また薬屋のひとりごとや専門用語に対する解説等はありませんのでご注意ください。

では早速 薬屋のひとりごと 第4話 恫喝 より食事介助シーンを見てみましょう。

不穏なタイトル……。油断できませんね……。一体どんなシーンを出そうというのですか!

(めちゃくちゃ警戒されてる)

食事介助シーン

それではこちら。

©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会

あ、ちゃんとした食事介助シーンだ!!よかった~!

はい。ではここのシーンでよかったところ、悪かったところについてみていきましょうか。

この話でよかったところですか?
猫猫がブチ切れてるシーンですね。
無下に扱われた鬱憤を解放するカタルシスが爽快です。
それに自分自身が無下に扱われることに対しての怒りではなく梨花様のケアに関する怒りで爆発させるという主人公の優しさというかそういうのが感じらる名シーンでカッコi……。

はいはい。これは食事介助の話がメインだから食事のところをピックアップしてみましょうか。

良かったところ3選

    良かったところ3選
    ①嚥下能力にあった食事形態の提供
    ②少量頻回なアプローチ
    ③咳の確認

嚥下能力にあった食事形態の提供

消化の良いものを提供しようとするも軽くあしらわれ、栄養価の高いものばかりを提供していたというシーンですね。

そりゃあ本人様が好きだったものとか、栄養の高い食べ物を食べてくれるに越したことはありませんが……。

結局食べられていない状況が続いてしまっています。

普通食をそのまま食べさせようとしていましたね。

今回のシーンでは猫猫が本人様の嚥下能力に合った食形態を考えていましたね。

一度おかゆと思しきものを提供してから、ムセたため重湯にしようと考えていたりしていました。消化だけでなく嚥下にも配慮していて素晴らしいです。

そしてちょっとずつ量が食べられるようになったら形のあるものを提供していく。

米粒の量を増やすって言ってましたね。
本人様の咀嚼をも確認していて見事です✨

段階的な食事形態の向上が大切なケアであるということが伺えますね。

少量頻回なアプローチ

個人的な感想で恐縮ですが……いいな~って思ったのが少量頻回なアプローチです。

ちょっと食べる→休憩する→またちょっと食べる→休憩する
繰り返して少しでも胃に食べ物を入れて回復を促すケースですね。

根気が要りますし、食べてもらう時間、休んでいただく時間のペース配分も難しいかなりリスキーな手法ですが、回復してもらうとしたらこれに尽きるでは?と思います。

なるほど。

また、一気に食べさせるのはよくないんですよ。

「リフィーディング症候群」ですね。(ちょっと勉強になってきてる気がしている)

そうです。飢餓状態の人に一気に食べさせると最悪死ぬというやつです。

段階的に少量ずつが正しく、胃腸を休める時間も作りながら少量頻回なアプローチは良いんじゃないかなと個人的な感想です。

閑話休題

食事とは直接関係ないですが、猫猫は発汗にこだわってましたね。

現代だと、発汗デトックスというやつでしょうか?

もし、発汗によるデトックス効果を期待していたのであれば……現代では効果がないといわれています。

ってことは蒸し風呂意味なかったのか……!

血圧変動を起こすリスクを考えると……。

悲しい!

白粉を肌に塗ってたため、皮膚表面から出すという意味もあったかもしれませんが。

ま、まぁ清拭だけだと汚れが落ちるのは不十分かもですし……少し元気になったらちょっと移動して精神面を落ち着かせるのは有効だと思いますよ。

咳の確認

咳をしている時に背中思いっきりたたく人をごくたまに現場で見るんですけど、あれ、やめてもらっていいですかね?

メでは咳してても叩かないんですよ!
それが現在の正解なんです!!

背中たたくときは窒息時だよ!
窒息時は背中たたくんですよ!!

普通に咳している時は下手に背中と胸とか叩かない方が良いんですよ!!

窒息と咳の区別がわからない人は呼吸見てください!
咳するとき息吸ってるから!!

息吸えてその後咳出来てたらOK!咳だから様子を見て!落ち着いたら大丈夫だから!!

でも息吸う時に変な音してて、その後もまともに咳が出てなったら窒息リスク高いので窒息を想定して動いてください!!

変な音がしたからって言って咳しっかり出てても叩く人がごくたまにいますからね!!

まぁ何事も最悪を想定して動くならいいんだけど背中叩打だけで終わらせるのは普通にアウトな気がします!

窒息対応として背中叩くだけじゃ不十分と言われる時代ですので!

窒息してるかもってなったら背部叩打+腹部突き上げ(ハイムリック/ハイムリッヒ)も必要!あと人もたくさん呼んでね!看護師さんいるなら看護師さんも!

その後呼吸回復しなかったら吸引してもらったり心臓マッサージとかもやるし!!

窒息対応はマジで数秒が命なのでここを参考にしたり施設のマュアルに沿って冷静に対処してね!!

今あなたが冷静じゃなかったですよ。
めっちゃ早口だったし。

こればっかりはしゃーない。

取り乱しましたが……咳が出来るということは呼吸がしっかりできるということ。見守るのが現在の正解であり、アメでは正しい対応がされていました。

良くはなかったところ:姿勢不良

    なぜ姿勢が悪いとダメなのか
    ①誤嚥リスク→早期咽頭流入による誤嚥リスク
    ②嘔吐リスク→胃食道逆流が起こりやすい

で、一番ヤバいと思ったのが臥床したまま食事介助してるところなんですよね。

今一度、臥床による食事介助のリスクについて教えてください。

誤嚥リスク

寝たままの食事で怖いところは誤嚥リスクです。

誤嚥……つまりは食べ物が変なところに入ってしてしまうということですね。

そうですね。我々健常者は寝ながらお茶を飲むことができますし、咳をすれば肺に入りそうになった食べ物等を吐き出して息が出来るようになりますが

病人だとそうはならない場合がありますよね。

弱った人は嚥下の反応が遅れる可能性がありますし、咳で出し切れなかった食べ物が悪さをして炎症を起こし誤嚥性肺炎を招く恐れがあります。

抵抗力の弱った人間に、さらに追い打ちをかける誤嚥性肺炎が恐ろしい。息が出来なくなって最悪死にます。

それだけのリスクがあるので病人の寝ながらの食事介助はとっても注意が必要なんですね。

嘔吐リスク

介護現場だと、ごはん食べた後はすぐ横になっちゃダメと教えられますが。

あれは嘔吐対策だったんですね。

でもあれなんでなんですかね?

起きてたら重力によって嘔吐が起こりにくくなるからです。寝転がると、重力がうまく作用せず嘔吐しやすくなるんですよね。

ふむふむ?

イラストで解説してみましょう。
いらすとや様のオブラートな画像ですが、内臓などが苦手な方は戻るボタンか読み飛ばしてね。

嘔吐と重力の関係

簡略化すると人体というのはこういう風になっていて

うんうん。

ごはんを食べた後はこんな感じになります。

赤色だ。トマト食べたのかな?

これだと、重力は下のままなので食べ物は胃にとどまってくれますが、横になると……。

重力がうまく作用せず胃にとどまってくれなくなるんですよね。

なるほど。

ま、細かく言うと胃には噴門部と呼ばれるところがあって、これが閉じることで逆流を予防してくれますが、年齢とか衰弱によってその機能が弱まるということで。

より良いと思われる対応策

    ①布団や枕を使って背中~頭部を持ち上げる
    ②膝枕や腕を使って背中~頭部を持ち上げる
    ③側臥位法を試し、食後背中~頭部を持ち上げる

現代であれば介護ベッドがありますからね。
ボタン一つで上体を起こしてくれる便利な機械です。

もうこれのない介護なんて考えられないですね。

さて、ではこんな便利なベッドがないことを想定して考えてみましょう。

ひとつ目が、布団や枕を使って背中~頭部を持ち上げる、ですね!

うまい感じに重ねてもらって背中~頭まで支えられるように整えてもらえるとGoodだと思います。

布団や枕が本人様の重み等によってズレないようにする工夫が必要です。

ふたつ目が、膝枕や腕を使って背中~頭部を持ち上げる、ですね!

介助する側の負担は大きいですが微調整が楽で本人様にとっても支えてもらって楽であると思われます。

ただ骨が当たると痛いので随時タオルとか敷いたほうがいいですね。

……。

そして最後、側臥位です。

側臥位って……?

イラストのようなベッドに垂直になって寝る感じですか?

そんな感じです!

これの何がいいんですか?

それを説明するだけで1記事できるんですけど、ざっくりメリットは

    普通の食事介助と比べて誤嚥しにい姿勢である

ということです!

デメリットとかは……?

    慣れていないため落ち着かない
    行儀が悪い等受け入れが難しい時がある

    完璧に誤嚥が防げるわけではない(何でも食べられるわけではない)

ん~デメリットが多いけど、逆を言えば慣れちゃえばわりとアリな手法なんですかね~。

ちょっと細かく言うと
・飲み込めていること(食道が開くこと)
・鼻への逆流が(少)ないこと
・呼吸の乱れがないこと

これらを確認してから実施する方が望ましく、実施する場合は専門の人に相談するのが吉です。

ムセなく安全に食べられるならそれが一番ですね。

まとめ

    ▼食事介助で良かったところ
    ①嚥下能力にあった食事形態の提供
    ②少量頻回なアプローチ
    ③咳の確認

    ▼食事介助で良くはなかったところ
    ①姿勢

    ▼より良いと思われる対応策
    ①布団や枕を使って背中~頭部を持ち上げる
    ②膝枕や腕を使って背中~頭部を持ち上げる
    ③側臥位法を試し、食後背中~頭部を持ち上げる

ということで今回は以上となります。

楽しんで読んでいただけたら幸いです。

こういったのまたやりたいと思ってたりします。

何かの参考になればうれしいです。
それでは!